久しぶりに、ページを読み返しながら読み進めるという楽しさを味わえた作品。「あのシーンは、ああだったのか!」みたいにページを戻りつつ、伏線を回収しつつ読める本が好きです。
「スケルトン・キー」道尾秀介
【あらすじ】
週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也。この仕事を選んだのは、スリルのある環境に身を置いて心拍数を高めることで、“もう一人の僕”にならずにすむからだ。昔、児童養護施設<青光園>でともに育ったひかりさんが教えてくれた。僕のような人間を、サイコパスと言うらしい。
ある日、<青光園>の仲間の“うどん”から電話がかかって来て、平穏な日常が変わり始めた。これまで必死に守ってきた平穏が、壊れてしまう――。
(※KADOKAWA公式サイトより)
「道尾秀介作品おもしろいけど、今回は久しぶりの道尾秀介作品だなぁー」と思って読み始めて、読み終えて、記事書くために道尾秀介さんの作品リストを見返してみたら「…え!?道尾秀介作品、読んだことないじゃん!?」と声に出して驚いた。ほんと驚いた。
「スケルトン・キー」を読んでみて
サイコパスの話。
僕は推理小説でも何でも、あまり前情報を入れずに読みます。読んでる途中でも犯人探しはしない。どんでん返しの結末など、その落差を楽しみたいので。
今回も前情報ゼロのまま読み進めていましたが、ほんとサイコパスな登場人物で、世界観もどんよりしていて全然ページが進まない。登場人物や展開に違和感を感じたりするし、途中で2回ほど「あ、これギブかな…」と思いました。
だがしかし、トリックというか真実が明かされると「あ!なるほど!あそこのシーンはこういうことか!」「こいつか!」の伏線回収連鎖。ページも進む進む。マリオがスターを取った時みたいな巻き返し感。
正直、このトリックに新鮮さはないし、「小説だからこそできる」ものだし、賛否両論あると思います。でも僕は単純に好きです。
たしかに根本は使い古されているかもしれないけれど、それを分かった上でも文章や展開、流れが上手いなぁと思ったから。章ごとに分けてあるのも、ちょうどいいところではっきり分かるようにしてあるし、練られている感があって楽しめました。「スケルトン・キー」は鍵の種類のことでもあるし、“合鍵”の意味も持つそうで。なるほど、なるほど。
自分が道尾秀介作品を読んだことがないことが一番の驚きですよ…。「カラスの親指」は読んだことある気でいたけれど、あらすじ読んでも「?」しか浮かばない。とはいえ今回の「スケルトン・キー」でファンになったので絶対読んでみたい!そして「スケルトン・キー」もオススメですよ!