『容疑者Xの献身』以外でも、「白夜行」「秘密」「流星の絆」「マスカレード・ホテル」などの大ヒット作を連発してきた、人気と実力を誇る稀代のミステリー作家、東野圭吾さん。
僕が高校2年生の頃、好きだった広末涼子さんが出演した映画「秘密」を観たのがきっかけで、“東野圭吾”という名前が頭の片隅に薄く残った…というのが著者の印象だった。
(関係ないけど、映画「秘密」に登場したスターホテル横浜を通ると、いまだに99年版の「秘密」を思い出す…)
「容疑者Xの献身」について
東野圭吾さん原作で、福山雅治さん主演でドラマ化・映画化された「ガリレオ」シリーズ」の1つである本作。シリーズ初の長編作品でもあり、この『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞しています。
【あらすじ】
天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、アパートの隣室に一人娘と暮らす靖子に密かな想いを寄せていた。靖子は、元夫の冨樫にしつこくつきまとわれ、発作的に自室で彼を殺してしまう。
警察への自首を覚悟した靖子だったが、殺害に気づいた石神は、彼女たちを救うため、完全犯罪を企てる。そして、靖子にこう言うのだった。「私の論理的思考に任せてください」。草薙刑事から事件のあらましを聞いた帝都大学理学部の助教授、ガリレオこと湯川学は、関係者の中に懐かしい名前が混じっていることに気づく。帝都大学の同期生で、湯川が唯一天才と認めた男、石神哲哉だった。 (引用:「ガリレオ」シリーズ公式サイトより)
「容疑者Xの献身」を読んでみて
2005年に刊行され爆発的に売れた本作ですが、お恥ずかしながら僕は当時「東野圭吾って売れセン作家だからなぁ」と読むのを避けていました。生意気にも。すみません。
でも食わず嫌いでいろいろ言うのは間違いだと思い、読んでみたんです『容疑者Xの献身』。
端的に言うと、頭をガーン!とやられたような衝撃でした。
最高におもしろい。
そういう展開かと。
他の東野圭吾作品もほとんど読んでいますが、『容疑者Xの献身』が群を抜いて好き。3馬身差くらいで「新参者」か。“ブーム的に売れている本”と思って避けていましたが、“売れるものには売れるだけの理由(おもしろさ)”があるんだと実感した本です。
この本については、“本格ミステリ”の定義から外れるとか、道義的におかしいとかの論議もされていましたが、正直どうでもいいです。売れれば売れるほど批評の対象になりやすい有名税みたいなものでしょ。単純におもしろい。これで充分です。
1つご忠告。ここまでおもしろいと思えたのは、読む前の期待値の低さも影響していると思います。人に映画やドラマや本のおススメをするときに必ず伝える言葉があるのですが、「ハードル高くしすぎないで」ということです。
東野圭吾さんの本は、楽に&楽しんで読めるので人気なんでしょうね。個人的にすごいと思うのは、おもしろいストーリーを量産できるそのスピードです。